テーマは重いですが、読む価値のある秀作
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もし、あなたの大事な人が誰かの悪意によって傷付けられた時、あなたは、加害者に
罰を与える事を望みますか?
そして、どんな罰を与えますか?
今月のテーマである私のおすすめ本は、
辻村深月さんの「ぼくのメジャースプーン」(講談社文庫)です。
この本の主人公である男の子は、大人でも簡単に答える事が出来ないこの問いに、
たった10歳で挑む事になります。
ある日、好意を持っていたクラスメイトの女の子が、学校で起きたひどい事件に巻き込まれ、
言葉を失ってしまいます。
罪の軽減を図るためか、謝罪したいという犯人に対し、主人公はクラスの代表として会う事になります。
ところが主人公は、ある不思議な力を持っていました。
女の子を苦しめた犯人に向け、その力を行使する事を決めた主人公は、同じ力を持つ大学教授にレクチャーを受けながら、
犯人にどんな罰を与えればいいのかを考えます。
犯人に対峙する事ができるのは、これが最初で最後…
すなわち、与えられたチャンスはただ一度きりです。
珍しいタイトルに惹かれ読んでみましたが、内容は深く、重く、心に突き刺さるものでした。
「メジャースプーン」とは、料理などに使う軽量スプーンの事ですが、
この話では比喩的な意味で使われています。
罪の重さも量刑も、メジャースプーンできっちり測れるようにはいかないのです。(…と私は解釈しています)
葛藤の末、彼はひとつの答えを出します。
その選択は哀しく切ないものでしたが、彼の覚悟と勇気は女の子の心を揺り動かし、最後はとても希望が持てるシーンで終わります。
テーマは重いですが、読む価値のある秀作だと思います。
以上、私のおすすめ本でした。
花井
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